たけじいの残日雑記懐古控

「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」・日記風備忘雑記懐古録

諸田玲子著 「幽恋舟」

図書館から借りていた、諸田玲子著 「幽恋舟(ゆうれんぶね)(新潮社)を読み終えた。

 


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、ブログ・カテゴリー 「読書備忘録」に 書き留め置くことにしている。


▢目次
 序章
 壱の章 ~ 拾四の章
 終章

▢主な登場人物
 杉崎兵五郎(禄高千七百石の寄合旗本、中川舟番所勤務、47歳)・舳之助・凪江・美帆、
 蜂谷与左衛門(用人)、吉田市之丞(郎党)、宮坂平太郎(郎党)、吉蔵、おうめ、
 たけ(17歳)、つる、弥助、おしげ、
 大島哲之進(ひろのしん、定町廻り同心、兵五郎の親友)・和代・哲太郎・千瀬、
 山口代出児(たつじ、山口禅二)・山口ふじ、かめ、
 富田屋治平・美和、鈴木松奥(まつおう)
 金窪文平(旗本大久保勝五郎の家臣、山口ふじの兄)
 堀石見守親義(飯田藩藩主)、堀大和守親寚、柳田東助(飯田藩吟味方)
 若山若年寄、安富主計(飯田藩国家老)
 鈴尾御典医の妻)
 浅井左太夫大目付、兵五郎の猪瀬道場仲間)


▢あらまし
 太平の世が続き、舟改めの手間は省かれ退屈極まりない任務になっていた中川
 舟番所で舟の出入りを監視していた兵五郎、
 ある日の早暁、航行の解禁時間の明六ツまではまだ間がある時刻に、血の気の
 失せた横顔が息を呑むほど美しい若い娘たけと侍女つるを乗せた古ぼけた平田舟
 が、忽然と幽霊舟のように現れ、中川から曲りこみ小名木川を西に向かって漕ぎ
 進んでくるのを見つけたが・・・、物の怪か?
 待ったをかけ素性を問いたださねばと思ったものの、膝頭がふるえ、声が出ない。 
 もたもたしているうちに、舟は遠ざかっていった。
 翌日、再び現れた舟を、兵五郎は追跡、身投げをしようとするたけを助け上げ、
 屋敷に連れてきて保護するが・・、
 狂気の血筋におびえるたけと付き添うつる、そして不審な事件が・・・、
 それまで、先が見えたような人生に朽ちかけていた兵五郎だったが、訳有りの
 たけを救おうと奔走することで蘇り、自分の娘美帆と同じ程に若いたけに、強く
 心惹かれていく。
 さらに、三十年来の親友であり、町奉行所の定廻り同心・大島哲之進と共に、
 たけに関わる、大名家、飯田藩堀家のお家騒動にからんだ事件の真相を明らかに
 していくはめになる。
 黒船来航直前、武家の意識も変わりつつある時代を背景に描かれた、新感覚の
 時代小説であり、大名家の藩内騒動が絡む、複雑、ミステリアスな事件も盛り
 込まれており、撮り物シーン(斬り合い場面)も有り、さらには、意外な展開、
 結末を迎えるという筋立てになっており、最後まで飽きさせない作品だと思う。
   
舟はつるとかめを乗せたまま、波間へ沈んでゆく。つるの断末魔の叫びと、
   かめの楽し気な笑い声が、尾を引くように流れて消えた。
   兵五郎は泳いだ。息つく間もなく泳いだ。渾身の力を振りしぼって泳いだ。
   「・・・・たけ!・・」