たけじいの残日雑記懐古控

「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」・日記風備忘雑記懐古録

藤原緋沙子著 「冬桜」

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「冬桜」廣済堂文庫)を、読み終えた。
本書は、著者の長編時代小説、隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」第6弾
「第一話 桐一葉」「第二話 冬の鶯」「第三話 風凍つる」「第四話 寒梅」の連作短編4篇が、収録されている。
隅田川御用帳シリーズ」は、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の女主人お登勢(おとせ)に雇われた、元築山藩藩士の浪人塙十四郎(はなわじゅうしろう)が、「慶光寺」の寺役人近藤金吾や、橘屋の番頭藤七等と共に、縁切りを求めて「橘屋」に駆け込んでくるいろいろな女達の様々な事情を探り、絡み合う悪事や謎を解明、愛憎乱れる 女と男の深い闇を、人情と剣とで見事に解決していく、悲喜こもごもの物語である。


「第一話 桐一葉」
▢主な登場人物
 小田島右近(備後国美山藩岩見銀警護方)・織江、幸太郎、
 市岡玄之進(大御番衆、元岩見大森代官所役人)、野呂、大原、
 稲富武一郎・稲富十太夫美山藩お側衆)、
▢あらすじ等
 十四郎は、5年前の銀の道の騒動の諍いで幼馴染稲富武一郎を斬ってしまい出奔、
 流浪の浪人の身となり、愛深く辛苦の暮らしを続ける小田島右近、織江、幸太郎親子と
 出合い、橘屋に連れてくる。

 その小田島右近が惨殺された。・・・・、「許せぬ・・・」、
 焼き芋か・・・・、十四郎の脳裏に、枯れ葉の散り敷いた街道を踏み締め踏み締め、
 西に向かう織江親子の姿が浮かんできた。


「第二話 冬の鶯」
▢主な登場人物
 半次郎(元女衒)・おきよ(希代)、
 仙次、
 平山九郎(元原田伸吾、原田作左ェ門の三男
▢あらすじ等
 亭主半次郎と別れたいと慶光寺に駆け込んで半月足らずのおきよ、半次郎が何者かに殺され、
 「あんた・・・・、かんにん」、ぽろっと涙?、なにか深い事情が隠されている?、
 十四郎、藤七が、真相究明に・・・、

 思いもよらない真実が明るみに・・・、
 「希代・・・」、平山は、叫びをあげると手を伸ばして何かを掴むようにして開き、
 どたりと倒れ伏した。

 「おきよ、これでなにもかも終わったのだ・・・」


「第三話 風凍つる」
▢主な登場人物
 寺沢庄五郎(触次名主、ふれつぎなぬし)・与吉・お梶、おさよ、
 佐太郎(船頭)、粂吉、
 鬼頭又之助(お鳥見方役人)、菅野(お鳥見方役人
▢あらすじ等
 将軍家の鷹狩の獲物保護場御留場で、鶴が弓矢で殺害され、無実の罪を着せられた与吉、
 与吉の幼馴染佐太郎が大活躍、その裏の真実が明るみになる。
 悪行を繰り返すお鳥見方役人と、触次名主の癒着?、妻お梶の不義密通?

 果たして、その結末は・・・。


「第四話 寒梅」
▢主な登場人物
 留次(桶職人)・お栄、お久、
 岩井野江(岩井市左衛門の娘)、
 江口鉄之助、
 天竺屋総五郎(廻船問屋、物産問屋、諸藩御用達)、和兵衛(天竺屋番頭)、
 才次郎、喜久蔵、おさよ、

▢あらすじ等
 留次の女房お栄が慶光寺に駆け込んできたが、飲み屋のお久に一人狂いした留吉の目を覚まさせ
 1件落着させた十四郎だったが、一方で、「噂の女」、美貌の岩井野江と出合い、
 自殺を思い留まらせ、橘屋に連れてくる。

 野江は、仕官の話に乗って、肥後国熊本藩へ旅立ったまま帰ってこない許嫁の江口鉄之助を
 待ち続けている武家女だったが、父親を亡くし、労咳にかかり、借金のかたに妾奉公を
 強要され、絶望のふちにあった。駆け込み事件外のことだったが、十四郎は探索・・・・、

 その裏には、悪辣な天竺屋の存在が有り・・・、「許せない!」。
 十四郎のかっての許嫁雪乃によく似た野江の出現に、お登勢は、微妙に嫉妬。
 お登勢に、縁談?、

 十四郎は、言いようのない寂しさに襲われ・・・・。どうなる?、どうする?